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56話 無駄遣いはダメなのです

Auteur: みみっく
last update Dernière mise à jour: 2025-11-16 06:00:52

 ――そして、信じられない光景が目の前に広がる。

 男の体に、まるで大口径の砲弾が撃ち込まれたかのように、大きな穴が空き、その強烈な衝撃波で、男の体は木々をなぎ倒しながらそのまま吹き飛んでしまった。辺りに鮮血が飛び散り、静寂だった山中に激しい破壊の痕跡を残した。

 驚きのあまり言葉を失いながらも、そらは自分の行動を振り返った。投げたのは、ただの小さな石だ。それが起こした破壊は、彼の常識を遥かに超えていた。

「えぇぇっ!! とっさの事とはいえ、ただ石を投げただけなんだけど……悪いことをしたかな……反省」

 彼は力の制御の難しさに内心で震えた。しかし、アリアを傷つけられた怒りは、まだ収まらなかった。

「でも、仲間のアリアを傷つけるなんて許せない!」

 そらは、顔を突き合わせた時の男の傲慢な態度を思い出す。心の中で男の言葉を引用しながら、皮肉を込めて呟く。

「俺の投げた石の先に、居るから当たったんだよね。謝りもしないで逃げ出すし……あれは自業自得だよ、うん」

 彼は自分を納得させるように何度も頷いた。後悔よりも、仲間を守ったという事実が、彼の心の中で優位を占めた。

 冷静さを取り戻すと、そらは転移魔法を使い、一瞬でアリアたちの元へ戻ってきた。彼の表情には、先ほどの激しい怒りの残滓はもうなく、ただただアリアへの心配が滲んでいた。

「アリア、大丈夫? 痛くない? 他に痛いところは?」

 彼は小さなアリアの体を優しく見回しながら尋ねた。

 アリアは、先ほどの恐怖を忘れたように、元気な声で答えた。

「えへへ♪ そらに治療してもらったから大丈夫なのです!」

 ブロッサムがそらをじっと見つめ、その深い紫の瞳には、何かを察したような複雑な色が浮かんでいた。しかし、彼女はそれを口にせず、穏やかな口調で声を掛けた。

「お帰りなさい」

 そらは軽く頷き、ブロッサムにも感謝の気持ちを伝える。

「ブロッサム、ありがと。それじゃ、武器屋に行こっかー」

 彼は気持

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